NEWS お知らせ

2022/03/16

【調査速報】220312白馬犬川上流・雪崩事故

2022年3月12日に白馬・遠見尾根の南側、犬川上流で発生した雪崩事故について、速報としてお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。
  
●事故概略●
日 付: 2022年3月12日
時 刻: 13時過ぎ
場 所: 犬川上流(地形図
概 略: 滑走者1人が濡れた雪による小規模な雪崩に流され、グライドクラックに転落。クラックには雪が流れ込んでいたが、幸いにも大きな空隙があり、同行者によって生存救出された。

  

220312_naganokenkei.JPG
図1 現場全景(長野県警察Twitter掲載写真より)
写真右で複数の点発生雪崩が出ているが、捜索に入った際の二次雪崩も含む
  
  

●行動●
白馬山域を熱心に滑走する経験ある2人パーティが13時頃、スキー場トップのゲートを通って入山。雪崩装備を携帯しており、入山時に雪崩ビーコンの電波が発信状態であることも確認した。

先行者が滑走中に雪崩の発生に気づき、スキーヤーズ・ライトに退避。流下する雪崩をやり過ごした後、後続の仲間がいないことに気づく。雪崩ビーコンを捜索モードに切り替え、下方にあるデブリを捜索するも反応がないため、ドロップポイント付近にあったグライドクラックへの転落の可能性を考える。

クラックまで登り返すにはとても時間を要するため、リフトを使って、再度、上部からアプローチすることを決断。スキー場のベースに向かって滑走しつつ、警察へ通報(13時56分)。そして再び、ドロップポイントに戻ると捜索を開始。雪崩ビーコンの反応はなく、クラックへのプロービングを実施し、約1時間後にヒット。仲間はクラック内で座位の状態で発見された。

ちょうど、その頃、長野県警のヘリコプターが現着し、仲間を収容(15時53分)。仲間は松本市内の病院へ搬送され、軽傷と軽度の低体温症で一命を取り留めた。

  
●雪崩データ●
種 類: 点発生湿雪表層雪崩
規 模: サイズ1
標 高: 1,550m
方 位: 南東
補 記: 先行者の誘発雪崩はサイズ2

  

●参考事項●
・雪崩情報
 当日の雪崩情報(5時30分発表)。JANの雪崩情報は、発表時間における「現況」です。よって、日中、雪崩危険度に変化がある場合、その徴候が、雪崩情報の発表時に既に生じていれば、それを⇒で表現しています。
  
・地形認識
 雪崩安全対策の最重要事項は「地形認識」です。表層が薄く雪崩れたとしても、地形が大きければ、雪崩規模は拡大します。また、今回のグライドクラックは、小さい雪崩でも重大な結末を招く「地形の罠」になります。7 STEPSの「STEP 5 状況に気づく」をお読みください。
 
・雪崩ビーコン
 精密な電子機器ですので、強い衝撃が加わることで正常な働きをしないという稀な現象も起こりえます。ある事案では、強い衝撃が加わったことで埋没者のビーコンが捜索モードに切り替わってしまいました。このため、埋没者を発見できず、捜索救助活動を諦めてビーコンを送信モードに戻したところ、埋没者のビーコンが反応し、その音を頼りに発見された例もあります。
  
・山岳エリア
 白馬では「山」と「スキー場」を明快に区分し、管理区域外やコース外といった混乱を招きやすい言葉を排した利用者目線での安全上の注意事項「Hakuba Valley Safety Tips」を策定しています。バックカントリー=山です。リンク(プレス記事)。

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