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2025/03/18
2025年2月10日に根子岳(長野県)で発生した雪崩事故について、関係者からの聞き取りを行うことで概略を整理しましたので、お知らせ致します。
●事故概略●
日 付: 2025年2月10日
時 刻: 11時40分
場 所: 根子岳(地形図)
概 略: 山岳での活動の装備と準備の整ったスキーヤーが目的の斜面の滑走を終えた後、移動を開始したタイミングで、上部斜面にて自然発生した雪崩に遭遇。1人が被災し、完全埋没したが、同行者による素早い捜索活動で怪我なく救助された。
図1 現場地形図
赤線が破断面、赤丸が雪崩に遭遇し埋没した場所
●気象状況●
登山口付近で気温は-9 ℃。軽い雪をシールで登高。途中で追いついた登山者は、スノーシューで膝上のラッセル。樹林帯を抜けた標高2,000 m付近は北風の強風。しかし、根子岳山頂付近は比較的に穏やかで、すぐ上空には雲が垂れ込めていた。当該斜面の視界はあり。
●行動●
単独のスキーヤー(P1)が山スキーを目的として登高。根子岳の山頂付近で別の2人グループ(P2・P3)と出会い、一緒に滑走することにする。大明神沢ダイレクトルンゼを滑走後、根子岳の南西に伸びる尾根の登山道(1,950 m付近)の方向へ、移動を開始。P2、P3が先行し、その約1分後にP1も移動を開始したタイミングで上部斜面にて雪崩が発生し、P1が巻き込まれた。
●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩
規 模: サイズ1.5(流下距離・160 m)
標 高: 2,050 m付近(上部破断面)
方 位: 南東
破断面: 幅 20 m程度、厚み 10-70 cm
弱 層: 不明
滑り面: 不明
写真1 発生区の様子
●捜索救助●
移動を開始直後、P2とP3がP1の声を聞き、雪崩の発生を覚知。両名は、すぐに雪崩ビーコンで捜索を開始すると、P1の手が目視で確認でき、掘り出しを行った。P1は手の一部以外が埋まる完全埋没で、その深さは50 cmだったが、怪我なく救助された。スキーが喪失したため、デブリを捜索したが発見できず、雪崩発生から1時間後に救助を要請し、県警ヘリコプターにて、P1は搬出された。P2とP3は自力で下山。
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