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2025/03/16

【調査報告】250218・夏油高原・雪崩事故

2025年2月18日に夏油高原スキー場(岩手県)の閉鎖区域で発生した雪崩事故について、関係者からの聞き取りを行うことで概略を整理しましたので、お知らせ致します。
  
●事故概略●
日 付: 2025年2月18日
時 刻: 11時30分
場 所: 夏油高原スキー場・閉鎖区域(地形図
  
概 略: インバウンドによる滑走者が、スキー場内の閉鎖区域に侵入。雪崩を誘発して、完全埋没した。同行者が捜索を行い、通報を受けたスキーパトロールと警察・消防が救助活動を実施したが、死亡事故となった。
  
250218_geto_map.png
図1 現場地形図
滑走者は、第2ゴンドラ南側のコース途中より、閉鎖区域に侵入。赤丸が雪崩現場。
  
●行動●
当該グループ9人(ツアーリーダー1人、顧客8人)の内、3人(リーダーと顧客2人)が、他6人と別行動でスキー場内を滑走。リーダーが先導して規定コースの途中から閉鎖区域へ侵入。当該斜面を最初に滑走したリーダーが雪崩を誘発し、完全埋没。
   
●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩
規 模: サイズ1.5(流下距離・60 m)
標 高: 840 m(上部破断面)
方 位: 北東
破断面: 幅 20 m、厚み 20-40 cm
弱 層: 不明
滑り面: 不明
  
250218_geto_startzone.png  
写真1 現場の様子
  
●気象状況●
前日の夕方から当日の朝までに60 cmの降雪。当日は、朝から時間降雪深3 cm程度の強度で雪が降り、突風を含む、強い西風が吹いていた。この天候状況は、救助活動が終わる夕方には弱まった。
  
●捜索救助●
雪崩発生の後、同行者2人は警察に通報し、捜索活動を開始。通報を受けたスキーパトロールが現場に向かうも、GPS位置情報が不正確であったため、すぐに現着できず、滑走跡を探す手法に切り替えることで、現場の位置特定に奔走。スキーパトロールが現着した時点で、同行者2人によって上半身の掘り出しは終わっており、その時点で心肺停止であった。埋没深140 cm、沢底での埋没。その後、警察と消防が現着し、尾根コースへの引き上げによる搬出活動を行い、被災者は病院に搬送された後、死亡の確認がされた。
  
●補記●
スキー場内での滑走において、最も大事なことは「滑走可能区域を守る」「閉鎖区域には入らない」です。国内において、オープンとなっているコースでの雪崩死亡事故は1997年1月以来、発生していません。これはスキーパトロールが日々、安全管理を行っているからです。
  
●謝辞●
本件の調査において夏油高原スキー場を運営される株式会社北日本リゾート様から多大なご助力をいただきました。厚く御礼申し上げます。

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