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2024/03/18

【事故調査】240314・小日向山・雪崩事故

2024年3月14日に小日向山(長野県)北東斜面で発生した雪崩事故について、関係者からの聞き取りを行うことで概略を整理しましたので、お知らせ致します。
  
●事故概略●
日 付: 2024年3月14日
時 刻: 13時10分頃
場 所: 小日向山・北東斜面(地形図
  
概 略: 山岳滑走を目的とし、装備が整った経験ある滑走者2人が、二股から入山。猿倉経由で小日向山まで登った後、北東側の尾根を滑走中に1人が雪崩を誘発。雪崩に巻き込まれた滑走者は、下肢骨折等の重傷を負った。負傷者は、仲間と共に一晩ビバークした後、翌15日、県警ヘリで病院に搬送され、一命をとりとめた。
  
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図1 現場地形図
✕が被害者の停止位置

240314_obinata_terrain.PNG
写真1 現場全景
事故の翌日、長野県警察による救助活動の際に撮影された現場全景
  
●雪崩データ●
種 類: 面発生湿雪表層雪崩
規 模: サイズ1.5(流下距離・約225 m)
標 高: 1,470 m付近(上部破断面)
方 位: 北東
破断面: 幅 5 m、厚さ30 cm
傾 斜: 35°
弱 層: 不明
滑り面: 旧雪面

240314_obinata_track.PNG
写真2 走路の様子
被害者が停止した位置付近から見上げた走路の様子
  
●行動●
朝8時頃、二股より入山。10時頃、猿倉に到着し、1502の尾根を使い、登行。13時頃、小日向山に登頂。林道ではスキーは沈まず、猿倉からのラッセルも、深くて脛程度。頂上では風速15 m/s程度の南西の風。頂上からリグループしつつ高度を下げ、当該斜面に到達。最初の滑走者(P1)が発生区上部でスキーカットを行ったが結果なし。P1は50 mほど滑った後、安全な位置で待機。次にメンバー(P2)が滑走を開始し、20 mほど滑ったところで雪崩を誘発。P1の眼前を流されていった。
  
●捜索救助●
雪崩の発生後、P1はすぐに走路を滑り降りると、埋没なしのP2を目視で発見。脛骨の骨折と肩の脱臼のため、自力下山困難と判断し、13時15分、警察に通報。16時頃、県警ヘリが現着するも、気流の関係で救助不可のため、その場でビバークを決断。当初、P2は痛みにより、まったく動けなかったため、周辺の木、スキー、雪を使い、イグルーを作成。その後、雪洞に移動し、お湯を沸かし、夜を明かす。翌15日7時20分、県警ヘリが現着し、P2を搬出。P1は別途出動した遭対協と合流し、自力下山した。
  
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写真2 デブリ末端の様子
  
●補記●
脛骨の骨折は樹木への激突ではなく、重い湿雪による大きな外力が加わった際、スキーブーツ上端が支点として作用したことに因る。

  

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