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2024/01/31

【事故調査】240114・八方尾根・崩沢・雪崩事故

2024年1月14日に八方尾根(長野県)の山岳域・崩沢で発生した雪崩事故について、1月17日に現地調査を実施。その後、関係者からの聞き取りを行うことで概略を整理しましたので、お知らせ致します。
  
●事故概略●
日 付: 2024年1月14日
時 刻: 11時30分頃
場 所: 崩沢(地形図
  
概 略: 山岳滑走を目的とし、装備と準備の整った経験豊富なスキーガイドのツアーが山岳区域に入山。二番目の滑走者が斜面内に入り、滑走準備のため停止したところ、雪崩を誘発。当該者は雪崩に流され、完全埋没。ガイドらによって、埋没者はすぐに発見、救助されたが、搬送先の病院にて死亡が確認された。
  

240114_happo_map.JPG
図1 現場地形図
  
●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩(持続型スラブ)
規 模: サイズ2(流下距離・約500 m)
標 高: 1,590 m付近(上部破断面)
方 位: 北
破断面: 幅 50 m、厚さ10-70 cm
傾 斜: 38°
弱 層: こしもざらめ雪・しまり雪(共に0.5 mm)
滑り面: 融解凍結クラスト(12月31日の降雨で形成)
補 記: デブリ末端(標高1,300 m付近)
  

240114_happo_fracture.JPG
写真1 破断面と発生区の様子
黒丸付近の側部破断面で積雪観察を実施。赤丸が誘発点。リードガイドは黒丸のやや右手で待機。サブガイドは正面の斜面ではなく、写真右手奥から左手側へ滑走。
  
●行動●
朝9時頃、スキー場トップにあるゲートより入山。八方尾根を登行し、10時頃、標高2,100m付近から南面を滑走。その後、大抜け尾根へ転進。11時30分頃、地形全体を俯瞰できる小さい尾根上にリードガイドが位置し、最初にサブガイドが滑走。安全な位置での待機がなされた後、次の滑走者がリードガイドのスキーヤーズ・ライトにある斜面内に入り、滑走準備のため良い方向に滑り込むため一旦停止したところ、雪崩を誘発。当該者は雪崩に流され、完全埋没。
  

240114_happo_startzone.JPG
写真2 発生地形の俯瞰写真
雪崩の発生した斜面。下方をサブガイドが滑走中。写真中央の左手にある灌木が致命的外傷の原因となった。例年であれば、これらの灌木の多くは積雪に埋没している。
  
●捜索救助●
雪崩の発生後、ガイドらによってすぐに捜索活動が開始され、埋没者は雪崩ビーコンによって数分で発見された。埋没深50 cm。すぐに掘り出しも完了したが、致命的な外傷を負っており、意識不明。事案は消防へ通報され、要救助者は防災ヘリにて搬出されたが、病院にて死亡が確認された。
  

240114_happo_runout.JPG
写真2 埋没点付近のデブリの様子
  
●補記●
今回、事故となった雪崩はJANの雪崩情報で事前にアラートされていないタイプのもの(持続型スラブ)であった。今シーズン、標高の低いところでは、積雪が極めて少ない状況が続いていたため、12月31日の降雨による融解凍結クラストの形成は認識していたものの、会員から寄せられる積雪情報は比較的標高が高いものが多く、十分な観察が行えていなかったことも一因としてある。また、1月4日、10日などには、この融解凍結クラストと上載積雪の境界面のテスト等が行われているが不安定性を示す結果は得られていなかった。

修正履歴:誤読があるようなので「行動」の項について言い回しを修正しました。

  

  

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