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2023/02/09

【調査速報】230203・武尊山中ノ岳・雪崩事故

2023年2月3日に武尊山(群馬県)で発生した雪崩事故について、関係者への聞き取り調査を行い、概略が整理できましたので速報としてお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。
  
●事故概略●
日 付: 2023年2月3日
時 刻: 13時32分
場 所: 武尊山中ノ岳(地形図
概 略: 中ノ岳での山岳滑走を目的に入山した3人グループの内、最初に滑走した1人が雪崩を誘発し、完全埋没した。すぐに仲間が捜索を開始し、約30分後に掘り出しを完了したが意識不明。その後、仲間2人は自力下山し、被害者は県警ヘリにて救助されたが、死亡が確認された。

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図1:武尊山中ノ岳
  
●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩
規 模: サイズ2
標 高: 2,050 m(上部破断面)
方 位: 南東
破断面: 幅 約15 m、厚さ20 cm
傾 斜: 不明
弱 層: 不明
滑り面: 不明
  
●行動●
2月3日10時、スキー場トップに設けられた登山口より、この山域を熱心に滑走する3人グループ(A, B, C)が入山。天候は雲量5程度(のち曇り)で弱い日射があり、稜線上では弱い北西の風。順調に行動し、12時30分頃、家の串の西斜面を迂回し、13時に中ノ岳に到着。途中、ストックを刺すなどを行い、2月1日夜から2日昼までに降った20 cmの新雪の状態を確認しつつ、行動。滑走開始地点で、滑走技量に応じて滑走ラインと滑走順の決定を行い、最初にAが滑り込む(写真2内S)。2ターン目で雪崩が発生し、雪煙でAの姿はすぐに見えなくなった。

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写真1 滑走開始地点付近の様子
  
●捜索救助●
雪崩発生後、BとCは捜索救助の役割を分担し、Bは現場へ、Cは警察への通報を行った。捜索を開始すると、すぐにザック等の残留物が視認でき、雪崩ビーコンのシグナルも補足。プローブにて位置を特定した後、掘り出しを行い、発生から30分で掘り出しが完了。埋没深2 m(写真2白丸)。その後、CPRを実施。県警との協議の結果、BとCは自力下山。Aは県警ヘリにて救助されたが、その後、外傷により死亡が確認された。

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写真2 発生区と埋没点
  
●謝辞●
各種情報をお寄せ頂きました皆さまへ深く感謝致します。

 

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