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2023/01/30

【調査速報】230129・谷川岳西黒沢・雪崩事故

2023年1月29日に谷川岳西黒沢で発生した雪崩事故について、関係者への聞き取り調査を行い、概略が整理できましたので、速報としてお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。
  
●事故概略●
日 付: 2023年1月29日
時 刻: 11時頃
場 所: 西黒沢北面
概 略: 西黒沢北面を滑走中の4人グループ内の1名が雪崩に巻き込まれ完全埋没した。事故の知らせを聞いた別グループがビーコンによる捜索を実施し、発見したが死亡した。周辺では人的誘発により小規模な点発生雪崩が多数発生し、同時刻に2名が同じ沢で半身埋没していたとの情報もあるが事故との関係は不明。
  

230129_tanigawa_map.PNG
  

●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩(推定)
標 高: 1230m(上部破断面・青丸)
方 位: 北東
破断面: 幅 約20 m、厚さ30 cm(推定)
傾 斜: 不明(30度以上)
弱 層: 不明
滑り面: 不明
  
●捜索救助●
11時半頃、事故の知らせを聞いた別グループが現場上方からビーコンサーチを開始し、ビーコンの数値が1mまで絞られた際、デブリの隙間から被害者の手を発見(赤丸)し、掘り出した。手を除いた最小埋没深は50cm程。その後消防の防災ヘリにより搬送されたが死亡が確認された。捜索時に現場上方に位置する面発生雪崩の破断面を確認している。
  
●補記●
当日は、多数の滑走者が「同時に、同じ斜面に滑り込む」危険な行動が多くみられました。滑走に適した斜面は「雪崩地形そのもの」ということを忘れないようにしてください。滑走は一度に一人ずつ、安全地帯から安全地帯への移動、安全地帯にいる者は滑走者の監視をする等の基本を忘れないようにしてください。また、自身の起こした雪崩で他者に被害を与えないよう、下方も確認してください。
  
バックカントリーは自然そのものの場所=雪山を指します。よって「バックカントリーでの滑走」は100年以上前から行われている「冬季登山の一形態である山スキー」と同義であり、「コース外滑走」とか「管理区域外での滑走」などいったスキー場と関連づけた報道は、雪崩だけに留まらない雪山での安全啓発・教育に多大な悪影響を与えていますので、報道機関の皆さまにおかれましては使用語の熟慮をお願い致します。
  
●謝辞●
情報をお寄せ頂きました皆さまに深く感謝致します。

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