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2021/02/24

【調査速報】210221八甲田モッコ沢・雪崩事故

2021年2月21日に八甲田モッコ沢で発生した雪崩事故について、22日に現地調査を行いましたので、速報としてお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。

●事故概略●
日 付: 2021年2月21日
時 刻: 13時頃
場 所: モッコ沢(地形図

概 略: 山スノーボードをしていたグループ(4名)の内2名が雪崩を誘発し巻き込まれた。1名は自力脱出したが、女性1名(40)が完全埋没。埋没者は、スキーパトロールのプロービングによって発見されたが死亡した。

210221_map_moccozawa.JPG

図1 地形図(赤丸=埋没位置)

  

●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩(持続型スラブ)
規 模: サイズ2 (流下距離約380 m)
標 高: 1,165m(上部破断面)
方 位: 北
破断面: 幅 50 m、厚さ90- 130 cm(平均100cm)
傾 斜: 35°(最大44°)
弱 層: こしもざらめ雪
滑り面: 融解凍結クラスト
※破断面データ(SPIN参照

210221_startzone_moccozawa.JPG

写真1 発生区

   

210221_fracture_moccozawa.JPG

写真2 破断面

  

●行動●
スノーボーダー4人は、八甲田ロープウェースキー場のダイレクトコースを2回、滑走。その後、ロープウェー山頂駅から山岳区域であるモッコ沢方向へ入った。視界20m程度のガスの中、先行の2人は急斜面を避けるようにスキーヤーズ・レフト方向へ進んだが、後続の2人とうまくコミュニケーションが取れていなかったため、後続2人は直進。結果、標高1,160m付近で雪崩を誘発し、流された。グループは、当初、コース内だけでの滑走予定であったため、雪崩ビーコンは車内においてあり、装着していなかった。

210221_pass_moccozawa.JPG

写真3 雪崩道全景(赤点丸=埋没位置)

  

●捜索救助●
流された2人の内、1人が部分埋没で自力脱出、1人が行方不明。通報を受けたスキーパトロールが14時頃、現着。自力脱出者の下方40mに立木があったこと、また、不明者は自力脱出者の前方を滑走していたことなどから、その立木付近をパトロールがスポットプロービングをしたところ、約10分で埋没者を1.5mの深さで発見。その後、スキーパトロール及び八甲田ロープウェー職員らによって、要救助者は搬出された。

  

●補記●
1.山岳事故
この事故は山岳区域での事故であり、スキー場の事故ではありません。八甲田は長き山スキーの歴史を持つ良きフィールドです。今回の場所は、昔から滑走されてきた山岳区域となります。山には常に危険があり、スキー場と山は「完全に異なる世界である」と考える必要があります。(3/1追記)

2.判断の難しい積雪コンディション
雪崩は、硬い旧雪下にある結合力の弱い雪が壊れて発生していました。当日に降った新雪が雪崩れたわけではありません。雪崩プロフェッショナルであっても、状況判断が難しい積雪コンディションでした。

●謝辞●
現地調査にあたり、八甲田ロープウェー株式会社及び八甲田スキーパトロール隊のご助力を頂きました。厚く御礼申し上げます。

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