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2020/03/19

【調査速報】200315白馬乗鞍岳・天狗原南東斜面・雪崩事故

2020年3月15日に白馬乗鞍岳(長野県小谷村)で発生した雪崩事故の関係者から聞き取り調査を行いましたので、速報としてお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。

●事故データ●
日 付: 2020年3月15日
時 刻: 10時40分頃
場 所: 白馬乗鞍岳・天狗原・南東斜面(地形図
概 略: 山スキーをしていたグループ(3名)の内2名が、斜面上部にいた山スノーボーダー(1名)の偶発的な誘発による雪崩に巻き込まれた。2名は埋没しなかったが、途中にある樹木への衝突により骨折等の重症を負い、内1名が県警ヘリコプターによって病院に搬送された。


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白馬乗鞍岳・天狗原・南東斜面・地形図(国土地理院)

●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩(ウインドスラブ)
規 模: サイズ1.5 (流下距離約315 m)
標 高: 2,050m(上部破断面)
方 位: 南東
破断面: 幅 75 m、厚さ10 - 20 cm前後
傾 斜: 約40 度
弱 層: 新雪(3月14日の降雪)
滑り面: こしまり雪/融解凍結層
※当日の雪崩情報は「こちら」。

●行動●
3人の山スキーヤー(A・B・C)が稜線から一人ずつ斜面に入り、ごく小さい雪崩を発生させた後、露出した融解凍結層の斜面を慎重に下降して灌木内にてリグループ。ちょうどその頃、別の単独の山スノーボーダー(D)が斜面状況と先行者の様子を確認しようと、灌木帯の上部に入ると、自身の上部で破断が起こり、雪崩が発生。Dは雪崩から逃れるためトラバースをするが、結果的に、それが雪崩の幅を広げることになった。Aは雪崩の発生にすぐに気づき、クライマーズ・ライトへ退避し、巻き込まれなかった。BとCは流され、それぞれ矢印の先端部で停止した。両名とも埋没はしなかったが、途中にある樹木への衝突で骨折等の重傷を負った。

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事故現場の全景(2020年3月15日撮影)

●捜索救助●
埋没しなかったこともあり、発生から10分で救助活動は完了。ほどなくBに震えが出たため、ダウンジャケットやツェルトなどを使い、保温に務める。発生から6分後に警察へ救助要請の通報を行っており、12時45分に県警ヘリコプターにて搬出完了。

●補記●
両グループとも全員、雪山滑走歴15年以上の経験者。雪崩対策装備を持ち、Bは流された時点でエアバッグを展開させている。

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