JAN MAGAZINES

2020/03/07

【vol.6】地形を友として

地形認識とその上手な利用が雪崩対策の最重要事項です

バックカントリーでの雪崩対策で最も大事なことは「地形をよく観察して、上手に利用すること」です。積雪がどの程度不安定であるのかは「常に不確実性」があります。それゆえ、不確実性の大きさに合わせて地形を使い、安全のマージンを取ることを、雪崩のプロフェッショナルはいつも考えています。

積雪の不安定性について、雪崩のプロがとても慎重な態度を取るのは、積雪強度のバラツキをフィールドでよく経験しているからです。積雪強度の場所によるバラツキを「積雪の空間的多様性」といいます。下の写真は、カナダの雪崩研究者であるBruce Jamiesonが執筆した一般向きの教本『Backcounry Avalanche Awareness』(2000年, 7th edition)に掲載されているものです。

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写真の数字はルッチブロックテストを36回実施したスコアです。隣り合うテストでも数字が異なる場所がありますし、そのスコアの範囲も大きいことがわかります。ルッチブロックのスコアについては「こちら」を参照してください。

積雪コンディションの把握には「不確実性と限界」があるがゆえに、それを理解している人ほど地形を大切にします。カナダの著名な雪崩プロであるChris Stethemは「地形の重要さと繊細さを軽視しないように。地形を読み、それをうまく使うには一生分の時間掛かります。イヤ、その倍かな」と発言しています。

こうした地形認識の重要性については、北米の雪崩入門書などでも繰り返し指摘されています。たとえば、アラスカ(米国)で長く雪崩学校を運営したJill Fredston と Doug Feslerは著書『SNOW SENSE』(1994, 4th edition)の「Travelling Smart」の章にて「あなたのアドバンテージになるように地形を使いなさい」と書いています。

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米国森林局の職員としてユタ雪崩センターに長く勤務したBruce Tremperは、著書『Staying Alive in Avalanche Terrain』(2001, 1st edition)の「地形」の章にて「アボガドソースをぶちまけてしまうようなツイていない日であっても、安全な地形を見つけることはできる」と書き、まずは地形をしっかり学んでほしい、と訴えています。この本は『雪崩リスクマネジメント』の邦題で山と渓谷社から2004年11月に翻訳出版されています。

JANの講習会プログラムも地形を重視したものですし、雪崩情報も「コンディションに合わせた地形選択をしてほしい」という考えで発表しています。「地形を友として」行動することが、長く、雪山を楽しむために最も大切なことなのです。

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