雪崩が発生した瞬間から、仲間の命は、あなたにすべて委ねられています。まず現場にいる人間で対処するようにしてください。警察への通報は、初動の状況が落ち着いてからで構いません。時間がすべてです。
目標はできるだけ早く、遅くとも10分以内に埋没者の呼吸を確保することです。これを過ぎることで生還の可能性は急激に低下します。しかし一方で、1時間近く埋没していて生還した事例もあります。位置特定がなされているならば、諦めず、なにしろ素早く掘り出してください。
山で活動する人は、そのアクティビティが何であれ、皆、同じ山仲間です。仲間が生命の危機に曝されている時、現場近傍にいる人による「共助」で救える命もあります。この理念に沿って日本雪崩捜索救助協議会(Japan AvSAR Council)は設立され、山岳組織の枠を越えた共通化したマニュアルとプログラムの運用が行われています。マニュアルは公開され、誰でも利用可能です。
今の状況を悪化させないことが基本です。よって、二次的な被害が発生する可能性がとても高い場合、極めて難しい決断ですが、捜索救助を断念しなければならない状況もあります。たとえば、地形的にアプローチが困難な地形に仲間が流されたなどです。
これらは救急救命の世界ではトリアージとして知られていますが、雪崩に関してどのような視点があるのかについては、雪崩捜索救助協議会のマニュアル『雪崩インシデントへの対応』に記載がありますので参照してください。
現場にいる人間による初動対応が難しいと感じたら、速やかに警察に事故発生を通報してください。また、雪崩の規模や地形などから、流された人が怪我等を負っている可能性がとても高い場合も速やかな通報が効果的です。事故を通報すると、折返しの電話が掛かりますので、それに対応できる人員を割り当てることも必要です。
日本雪崩ネットワークは様々な情報を提供するために、日々活動しております。今後も持続し続けて行くためにも皆様のご協力が必要です。