ツアーを考えている山の情報を集め、全体計画を立てるようにしてください。雪山はシーズンの初期・中期・後期で現場状況がかなり変わることを忘れないように。たとえば、ハイシーズンには深い積雪で埋まっている沢が、シーズン始めや終わりにはとても危険な箇所になることもよくあります。
地形図や衛星写真を利用することで、雪崩に関する地形が持つ潜在的な危険度が事前にある程度把握できます。また、SNSなどの情報は事実としてのデータなのか、行動した方の感覚的な評価あるいは感想であるのかを見極めるようにしてください。
リスク受容の程度は、各個人で異なります。これを念頭に、グループメンバーの技量・体力・経験などを考慮しながら、ツアーの目標と引受可能なリスクの制限を設けるようにしてください。
たとえば、初めてバックカントリーに挑戦する体力と滑走スキルが低いメンバーがグループ内にいる場合、当日の朝、雪崩情報の危険度が「3警戒」以上ならば、ゲレンデ内の新雪滑走に切り替えるなどです。グループ内の経験豊富な人は「俺は行ける」と考えるかも知れませんが、慎重なルート設定と保守的な意思決定が必要な状況下で、ビギナーが危険地帯を的確かつ素早く動けるのか、そして、もしトラブルが発生した場合、対応可能であるのかを考えてみることです。
ツアー計画は捜索救助の通報をする人に伝えておきましょう。それは家族でも、会社の同僚でも構いません。そして、その延長として登山届を出してください。
天気が悪化するのか、好天へ向かっているのか、その全体傾向を知ることは、前日や当日にツアー計画を修正する際、とても大切です。天気が悪化する方向であれば、何かトラブルが発生しても、ヘリコプターでの救助は期待できない、と考える必要があります。
雪崩情報は、朝の時点で評価された現況です。表示される雪崩危険度の後ろに矢印が付いていますが、これは、その評価を行った時点で、どのようなトレンドにあるのかを示しています。上向きの矢印が付いている場合、積雪コンディションは悪化傾向ですので、それを考慮しながら雪崩情報を読んでください。
日本雪崩ネットワークは様々な情報を提供するために、日々活動しております。今後も持続し続けて行くためにも皆様のご協力が必要です。